軟弱地盤上の盛土施工における留意点と対策【工法ごとの問題点と対策】

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軟弱地盤は、施工機械(重機)のトラフィカビリティの確保、盛土や直接基礎設置後の沈下量の大きさが懸念され、用途に応じた対策が必要になります。

今回は軟弱地盤上に盛土を行う際の対策を徹底解説します。

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軟弱地盤における懸念事項

・施工機械のトラフィカビリティ

・盛土施工後の圧密沈下

・盛土施工後の排水不足による盛土のすべり破壊

軟弱地盤対策

サンドマット工法

軟弱地盤上に敷砂(サンドマット)を敷設し、上部排水層として機能させることで圧密を促進させる工法です。

上部地盤の安定によるトラフィカビリティ確保を主目的として採用します。

サンドマットを有効に機能させるためには、厚み0.5〜1.2mで施工します。

緩速載荷工法

時間をかけてゆっくりと盛土を行うことで、急激な沈下を防止する工法です。

ただし、工期の延長と、それに伴う施工機械や人件費が増加するため、留意が必要です。

載荷重工法

目的物(盛土や構造物)の建設に先行してプレロードを行うことにより圧密を促進させ、盛土や構造物施工時の沈下量を低減する工法です。

プレロードとは、先行して載荷するという意味の英語で、目的物以上の荷重を盛土等により載荷することを指します。

目的物施工時の沈下量を低減することは可能ですが、プレロード時には著しい沈下を生じることがあり、試験施工により適切なプレロード荷重値を検討する必要があります。

プレロード時には荷重と沈下計測管理を行い、都度施工計画に反映させたり、プレロード盛土のすべり破壊等に対する安定検討を行います。

バーチカルドレーン工法

バーチカルドレーン工法とは、軟弱粘性土地盤に高透水係数の材料の柱状体を鉛直に挿入し、排水層とすることで、軟弱地盤の圧密を促進する工法です。

カードボード(段ボール)や天然繊維材料を使用するペーパードレーン工法と、砂を詰めたネット状の袋を使用するサンドドレーン工法があります。

グラベルドレーン工法

緩い砂質土地盤において、砕石柱状体を挿入して排水層とすることで、地震時に生じる地盤の間隙水圧上昇を抑制し、液状化を防止する工法です。

サンドコンパクションパイル工法

振動機を用いて地盤内に砂杭を設置し、周辺地盤を締め固めることで液状化を防止する工法です。

粘性土地盤に適用した場合には排水層の役割を果たし、圧密促進するサンドドレーン工法としての役割も果たします。

振動棒工法

振動棒工法とは、緩い砂質土地盤に特殊圧入ロッドを振動圧入し、支持力増加および液状化防止を図る工法です。

軽量盛土工法

盛土材料を軽量なものに変更することで盛土に伴う地盤の即時沈下量、圧密沈下量を低減する工法です。

軽量盛土材料として、発泡材(ポリスチレン)や気泡混合軽量土、軽石を使用します。

カルバート工法

カルバート(中空箱型の構造物)とすることで自重の影響を低減し、沈下量を低減する工法です。

置換工法

軟弱層が比較的浅い場合に採用される工法で、軟弱土を良質土に置換することにより、地盤の支持力増加、安定性確保、盛土施工時の沈下量低減を図る工法です。

押さえ盛土工法

盛土側方部に押さえ盛土を施工することで、施行中の盛土本体のすべり破壊を防止する工法です。

押さえ盛土が施工可能なだけのスペースに余裕がある場合に採用されます。

盛土補強工法

盛土内部に、鋼製ネットやジオテキスタイル等、盛土よりも引張剛性の高い材料を設置することで、地盤の側方流動に伴う広がりやすべり破壊を抑制する工法です。

盛り土中に水平にネットを張ったり、法面に沿って設置したりします。

固結工法

セメント系、石灰系の添加剤を地盤に混合し、化学反応を利用して地盤を固結してトラフィカビリティや地盤の安定を確保する工法です。

表層混合処理工法や深層混合処理工法があります。

表層混合処理工法

表層部の土と、セメント・石灰系固化剤を攪拌混合し、地盤の安定やトラフィカビリティを確保する工法です。

セメント系固化剤を使用する場合には、毒性を有する六価クロムが発生します。

六価クロム溶出試験を行い、溶出量が環境基準値0.05mg/L以下となることを確認する必要があります。

深層混合処理工法

軟弱地盤中に、土にセメント系固化剤を攪拌混合した柱状体を形成し、すべり抵抗の増加、変形抑止、沈下低減、液状化防止を図る工法です。

セメント系固化剤を使用するため六価クロム溶出試験を行い、溶出量が環境基準値0.05mg/L以下となることを確認する必要があります。

排水工法

地下水位を低下させることで軟弱地盤の浮力除却および排水経路の確保を行い、圧密を促進させることで地盤の強度増加を図る工法です。

ウェルポイント工法とディープウェル工法があります。

ウェルポイント工法

深さ2〜7m程度の地下水の排水に適用する工法です。

ウェルポイントとは、外径50mm、長さ70cmのストレーナー濾過網を有する吸水管に、径5cm、長さ5.5〜7mの吸水管を取り付けたもののことです。

地盤中にウェルポイントをカーテン状に多数打ち込み、強制排水させることで地盤の圧密を促進させる工法です。

ウェルポイントは真空力(=大気圧1気圧)を利用しており、大気圧以下の範囲内適用が限定されるため、理論上は地下水が深さ10mまでの範囲に限定されます。

しかし、実務上は水頭損失等の影響を受け、深さ7m程度が限界とされています。

ディープウェル工法

ディープウェル工法は、深井戸(ディープウェル)から地下水を排水する工法です。

重力排水を基本とします。

それまで土粒子に作用していた浮力に相当する荷重を下層に載荷し、圧密促進、強度増加を図る工法です。

また、地下水位を低下させることで液状化防止効果もあります。

 

以上今回は軟弱地盤対策として使用される盛土工法、地下水位低下工法、固結工法について解説しました。

種類が多くて大変ですが、イメージだけでも持っていただけていれば幸いです。