【技術士二次試験】実務経験証明書の書き方を徹底解説!「業務経歴」「業務内容の詳細」

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

実務経験証明書とは

実務経験証明書は4月の技術士二次試験申込時に提出する書類の一つで、①これまでの業務経歴と、②そのうち1つの業務について業務内容の詳細を720字以内で記載する欄があります。

技術士会の公式ホームページの、技術士二次試験受験申込み案内に記入マニュアルがあり、応募時期には同ホームページから入力フォーマット(様式)もダウンロードすることができます。

なぜ実務経験証明書が必要なのか?

実務経験証明書の提出が求められる理由は2つです。

1.受験資格要件の確認

技術士二次試験には、一定の実務経験が必要とされています。

実務経験証明書には、所定の実務経験年数に達していることを確認する目的があります。

2.業務内容の詳細の事前提出

720字以内で自身の業務経験を記述する業務内容の詳細は、従来の技術士試験では筆記試験の時間の中で記述する方式でした。

しかし、ただ暗記してきたものを書き写すだけの試験となってしまったことから、今では申込時に提出するよう変更されました。

この業務内容の詳細は、口頭試験にて参考資料として利用されます

試験官は業務詳細に記載した内容ついて質問を行うことで、受験者に技術士としてふさわしいコンピテンシーが備わっているか判断をします。

実務経験証明書の書き方

業務経歴の書き方

まずは業務経歴欄の書き方を解説します。

業務経歴もただ経験した業務を羅列すればいいわけではありません。

試験に合格するための書き方が存在しますので、最後までご覧ください。

経験が少ない方へ

経歴を書く欄は全部で5行あります。

土木工事は一つの工事が長いため、5現場以上の経験がない受験者もいらっしゃるでしょう。

Q
じゃあ3行だけ埋めて、残りは空欄とすべきでしょうか?
それとも「以上、ここまで」などと記載しておくべきでしょうか?
A

結論から言いますと、両方とも間違いです。

先述の通り、実務経験証明書に基づいて口頭試験が実施されます。

口頭試験の際、面接官は事前に業務経歴欄に目を通しておいてくれるので、業務経歴欄の内容について話すときは背景等の説明を省略して話し始めることができます。

口頭試験は制限時間内にどれだけアピールできるかの加点方式なので、背景などの補足情報の説明にかける時間は1秒でも少なくしたいです。(口頭試験を経験された方は如何に業務経歴が重要か分かると思います。)

つまり、業務経歴欄は書けるだけ書いておく方が合格しやすいです。

でも経験が無いんだから書けないよ、、、

安心してください。

業務経歴は1行に1現場ずつ記載する必要はありません。

例えば1現場において、土工と鉄筋工を担当したなら、2行に分けて書いてもいいんです。

技術士に求められるコンピテンシー(当ブログの口頭試験対策記事をご覧ください)ごとに分けるのも良いでしょう。

例えば同じ土工の経験でも、リーダーシップとマネジメントのエピソードを2行に分けて書くなどです。

経験が多い方へ

逆に6現場以上と経験が多い方は、どうやって5行に収めるか悩まれることでしょう。

この場合には、経験が少ない方のように1現場を2行に分けることはおすすめしません。せっかく持っている経験が見た目上少なくなってしまうためもったいないです。

つまり、考えるべきは、6つ以上の現場経験のうち、どの5現場を採用するかということです。

選択の優先順位は次の通りです。

  1. 最も話しやすい(業務上の工夫や改善を実施した)現場
  2. 経験年数の多い現場
  3. キーワードのある現場

最も話しやすい現場

話しやすい現場とは、業務詳細に記載する現場とも言い換えることができますが、自身が業務上の工夫や改善提案を実施した現場のことです。

経験年数の多い現場

次に、経験年数の多い現場です。

経験年数が多いのに記載しなかった場合、業務経歴書上、長い空白期間があるように見えます

もちろん産休や育休などライフイベントによる休職期間はあるものですが、説明が必要になると貴重な口頭試験の時間を削ることになります

経験の長い現場は説明もしやすいでしょうし、その中で少なからず技術士らしい提案を行ってきたはずです。

よほどの理由がない限りは経験年数の長い現場は記載しておくようにしましょう。

キーワードのある現場

最後に、キーワードのある現場という言い方をしましたが、キーワードとは、試験官の目を引く単語という意味です。

例えば、ECI方式の入札提案業務であれば、「ECI方式だったからこその困難はありましたか?」などと質問され、そこから話を広げて技術力とコンピテンシーをアピールすることができます。

ここで、キーワードとなる単語とは、筆記試験対策で学ぶ単語です。

カーボンニュートラルを意識した材料選定や3次元解析ソフト、最新の測量技術等などです。

キーワードを入れる

先述の通り、面接官の目を引くようなキーワードを含む業務経験を記載することで、口頭試験時の話題を増やすことができます

話題が増えると、業務詳細に記載した内容に縛られずに、自由なネタに基づいて解答することができます。

地位•職名の書き方

「地位•職名」の欄ですが、平社員や係員から始まって主任、工事長のような書き方が通常ですが、業務内容が多岐に渡る場合は、その役割が曖昧になる恐れがあります。

そのような場合には、品質管理担当、仮設資材管理主任など、その役割が分かりやすくしましょう

ここについて問われることはほとんどありませんが、万が一問われた場合には、口頭試験の貴重な時間をここに割くことになります。

念には念をの精神で考えてみて下さい。

業務内容の詳細の書き方

業務内容の詳細に書くべきコンピテンシー

まず業務内容の詳細に求められるコンピテンシーを確認しましょう。

業務内容の詳細では「問題解決」が主に求められ、その上で口頭試験において「リーダーシップ」「コミュニケーション」「マネジメント」「評価」などのコンピテンシーについて試験が出題されますので、それらについて答えられるような内容を含んだものとすることが良いでしょう。

背伸びせずに役割を明記する

自身の役割を明確にすることは非常に重要です。

実際、業務内容の詳細のタイトル欄にも「当該業務での立場、役割、成果等」と、わざわざ立場や役割を記載するよう促されています。

しかし、経験の多い方であれば、工事長などリーダーシップを記載しやすい立場にあるかと思いますが、比較的経験の浅い方は役職もなく立場と言うと書きにくいかもしれません。

そんな若い受験者に覚えておいて頂きたいのは、比較的若い受験者でも技術士二次試験に合格している方はたくさんいるということです。

その理由は、技術士試験は立場や役割の大きさを求めるものではなく、その業務範囲の中で最大限に技術士らしい行動ができているかを測る試験だからです。

決して背伸びせず、正直に経験を語ることが合格への近道です。

現場概要を長めに書く

業務内容の詳細で最も重要なのは現場概要です。

課題や解決策よりもまず現場概要です。

なぜなら、口頭試験の面接官は当然技術士資格を持っており、現場概要を知れば課題やある程度の解決方針等を推測することができるからです。

また、現場概要や背景情報が不足していると、その後の課題選定や解決策の検討プロセスをいくら詳細に記載しても伝わらなくなってしまいます。

まずは現場概要を7〜8行程度使ってしっかりと述べるようにしましょう。

課題はさらっと

課題を見つけるに至った経緯は基本的には不要です。

現場概要から背景がわかれば課題感は自然と伝わります。

また、試験という観点で見れば、課題発見プロセスよりも、その課題に対してどのように解決を図ったかという解決プロセスを示す方が有意義です。

複数の観点で

課題解決策を実施した場合の波及効果、すなわち解決策を実施しても依然として残ってしまう課題や解決策を実施することで逆に発生してしまう悪影響に対する補助解決策も含めて、様々な観点で解決策を記載するようにしましょう。

特に、1つの課題に対して1つの解決策で解決に至ることは稀で、多くの場合、複数の解決策を併用しているはずです。

それらについて、一つ一つ検討プロセスを記載する文字数は与えられていませんので、複数の解決策を全て含めるようにしつつ、具体的な実施事項を中心に簡潔に記載することで文字数を減らしましょう。

箇条書きする

技術士の問題解決プロセスでは、様々な観点から検討を行い、それぞれについてどういう考え方で評価をしたのか、伝えようとすればするほど文章が長くなっていきます。

そこで意識して欲しいのは、箇条書きの意識です。

伝えるための最低限の文章構成は必要ですが、技術士試験は文章力を問う試験ではありません

極端な話をすると、箇条書きでポイントだけ整理しても伝わりさえすれば、それを理由に不合格になることはないのです。

むしろ、内容不足は口頭試験における時間不足、不合格に繋がります。

口頭試験のことを考えて、可能な限り多くのネタを仕込むように、箇条書きを意識した書き方をおすすめします

そこでの詳細な考え方などは、口頭試験にて口頭で伝えることで補うことができますので、まずは事実ベースで箇条書きを意識してみて下さい。

何度も添削してもらう

業務内容の詳細は、筆記試験合格後に、口頭試験において使用するものです。

受験者本人は筆記試験の勉強で頭がいっぱいだと思います。

筆記試験の合格率が約10%と低いこと、筆記試験の合格がまずは必須であることを考えると、申込書に時間を割きたくないですよね?

時間の節約とともに、やはり経験というのは何より頼りになるものですので、技術士試験の経験者、つまり技術士による添削はとても有効です。

職場の上司でもいいですし、ココナラ等の添削サービスを使ってもいいです。

ただし、何度も繰り返し添削してもらうようにしてください。

同じ技術士でも何度も繰り返し添削することでより洗練されたものになります。

一方、技術士二次試験はここ数年で試験形式が大きく変化しています。

職場の上司だと最新の傾向を把握しておらず、見当違いな添削になる恐れがあります。

その場合には、比較的若い技術士、もしくは添削業者への依頼がベターかもしれません。

部門に合った内容にする

意外と多いのが、自身の受ける部門(選択科目)とは関係の無い内容に関するエピソードを記載してしまう例です。

自分のやったことをアピールしたいと思うあまり、選択科目の範囲外のところまで広げてしまう方です。

就活と違い、自身が優れていることをアピールしても意味はありません。

別に優秀じゃなくていいので、あなたが技術士としてふさわしいことをアピールしてください

あくまでも専門試験であることを忘れずに。

以上、今回は業務経歴書の書き方を解説しました。

何よりも技術士による文章添削が最も重要です。筆記試験の勉強時間を確保しながら進めるためにも、早い段階から添削を依頼し、何度も改善を繰り返して完成させていきましょう。