筆記試験に合格した皆様、おめでとうございます。
まずはひと安心といったところですが、まだ口頭試験が残っています!
今回は、技術士二次試験の口頭試験の対策方法を紹介します。
合格率
技術士二次試験の合格率は、筆記試験が1割、口頭試験が9割と、口頭試験で落とされる人は少ないです。
つまり、技術士二次試験が難関と言われる所以は筆記試験の合格率の低さにあると言えます。
とはいっても、口頭試験で落ちる人が1割いるのも事実です。
実際私の周りでも数年間連続で筆記試験に合格して、口頭試験で落ち続けたという方がいらっしゃいました。
筆記試験はある程度頻出問題が固定されているため事前対策がしやすいのに対し、口頭試験の出題は項目が決まっているといっても出題文章は試験官ごとに異なりますし、自身の業務経験になぞらえて応える方式のため、真に技術士能力が問われると言えます。
落ちる人の特徴
口頭試験で落ちる人の共通点は、「事前の対策不足」、これに尽きます。
多くの方が、筆記試験は十分に対策する一方で、口頭試験や面接試験はあまり対策されない方が多いです。
高校や大学の入試面接の経験から、範囲が広くて対策しきれない、人格や適性検査を目的としているため面接試験に重きが置かれていない、などのせいだと考えています。
しかし、技術士二次試験の口頭試験は、人格や適性ではなく、能力を問われますし、試験項目も予め周知されています。
もちろん実際の技術力や経験は必要ですが、事前に十分な対策をしていれば比較的若い方でも合格できますし、逆に勉強せず何年も不合格続きの方もいらっしゃいます。
採点は20分間の加点方式
口頭試験の採点は、加点方式で行われます。
口頭試験ではリーダーシップやマネジメントなどの評価項目があり、質問への回答によって得点されます。
評価項目1項目ごとに検査され、質問への回答によって加点されていきます。
一定の点数を満たした段階で次の評価項目の検査に移っていきます。
1つの質問でパスするのが通常ですが、回答が不足する場合には同じ評価項目について別の質問がされ、得点が足りるまで行われます。
基本的に試験官は優しく、落とすための試験というよりは、合格に必要な能力を聞き出すように努めてくれます。
つまり、受験者が技術士に足る資質を有しているのであれば、時間をかければいつかは合格できる試験なのです。
しかし、口頭試験の制限時間が20分であり、時間内に全ての項目について合格していない場合には不合格となります。
制限時間の20分ですが、得点が足りない受験生については最大30分まで試験時間を延長してくれるという優しい計らいがあります。
口頭試験の際に、20分以内に終わった人は合格である可能性が非常に高いです。
30分かかった人は、不合格の恐れがあります。
不合格になるパターンは3つ
制限時間
先述の通り、制限時間内に技術士としてふさわしい素養をアピールできなかった(得点不足)場合に不合格になります。
この場合には、試験時間が20分かかったなら合格、30分かかったなら不合格の可能性が高いと試験直後すぐに判断することができます。
しかし、そのほかの不合格理由による場合は、時間に関係ないため、合否の判断が難しいです。
制限時間内に終わって喜んでいたら不合格だったという場合もありますので、精神的な負荷を抑えるために、ぜひチェックしておいて下さい。
技術者倫理に反した
ここで、時間不足以外の不合格パターンも紹介しておきます。
一つ目は、技術者倫理に反する発言をした場合です。
例えば、公益とコストのトレードオフが発生した事例について、公益を優先しなかったなどです。
私は実際に見聞きしたことはありませんが、多くの記事で紹介されているのは、国や自治体の批判を言うことも不合格理由になりうるとされています。
不確実な情報を鵜呑みにする
二つ目は、不確実な情報や曖昧な内容を断言したときです。
業務詳細についての説明で、自身の担当範囲外のことや事実が曖昧で覚えていないものについて、あたかも知っているかのように答えてはいけません。
試験官には分からないと思うかもしれませんが、試験官は嘘をつく態度に敏感、かつ他の回答との齟齬や矛盾によって発覚します。
技術者倫理や法律規則以外の内容であれば、分からない内容は分からないと答えても減点されませんので、「分かりません」と正直に言いましょう。
制限時間制の加点方式なので、答えにくい質問は「分かりません」と早めに捨てて、次の質問で得点を狙う方が有意義です。
配点
口頭試験は技術士に求められるコンピテンシーに沿って検査されるもので、各コンピテンシーごとに配点が定められています。
各コンピテンシーの検査が順番に行われるわけですが、どの順番で聞くかは決められていないようです。
試験日程
筆記試験が7月に実施され、その結果が10月に発表されます。
筆記試験の合格通知には、口頭試験の場所や日時も記載されていて、この合格通知書が口頭試験の受験票になります。
口頭試験の実施は12月〜1月末までのうち、受験者それぞれに通知された日時となります。
通知された口頭試験の日時は基本的に変更不可ですが、事情によっては技術士会へ連絡しましょう。
また、口頭試験の合格発表は3月です。
持ち物
当日の持ち物は受験票(筆記試験の合格通知書)のみでOKです。
書かないので筆記用具は不要ですし、腕時計も必要ありません。
試験中に時計を見る時間もなければ、相手の話してる最中に時計を見るなんて失礼です。
身分確認のため念のため身分証明書を持参するくらいですね。
また、交通機関の遅れを想定し、会場には余裕を持っていくのがベターです。
早めに着いた場合には待機場所で勉強できますので、回答文章をメモした紙やスマホがあるとよいでしょう。
服装
服装は黒のスーツです。
紺色等も良いでしょうが、明るすぎる色は避けましょう。
皆さん黒スーツで望まれており、他の例を知らないので服装で落とされるかは判断できません。
採点項目にはないので大丈夫だと思いますが、あくまでも印象の問題として、落ちる要素は徹底的に排除しておくのが安心です。
バッグも黒が多いですね。手持ちのビジネスバッグではなく、リュックタイプでも問題はありません。
試験当日の流れ
試験当日の流れについてです。
試験はカンファレンスセンターで実施されます。
会場に着いたらはじめに受付にて受験票(筆記試験の合格通知書)を見せて受付を済ませます。
試験自体は別の部屋で行われるので、自分に割り当てられた部屋が教えられます。
試験開始の5分前までに試験教室の前の椅子に待機しておくように言われ、それまでは他の試験部屋の人も含めて受付近くの待機場所で待機です。
待機場所は筆記試験の会場と同様の机配置で、全員前向き、各自紙やスマホで最終確認しているという感じです。
試験部屋前の椅子で待機していると、時間になると呼ばれますので入室します。
当然ながら、入室時に「失礼します」と言います。
椅子に荷物を置くように言われますので、荷物を置いてから、自身が座るであろう椅子の隣に立ちます。
そこで受験番号と氏名を伝えます。
座るように指示されてから、「失礼します」と断った上で着席します。
まずは経歴書に記載した経歴と業務詳細を述べるように指示されます。
業務経歴と業務詳細含めて2〜3分程度で簡潔に言えるように事前に準備しておきましょう。
その後はコンピテンシーを測るための質問がされていくわけです。
試験が終わると、退出するように言われますので、「ありがとうございました」と言ってかれ立ち上がり、「失礼します」と断った上で荷物を持って扉の前へ行き、再度「失礼します」と言ってから退出しましょう。
扉を閉める際には大きな音を立てないよう最後までノブを握ったまま閉めましょう。
退出を求められた時点で試験は終わっているため、その後の礼儀で不合格になることはないと思いますが、技術士としてふさわしい行動を努めていきましょう。
以上、今回は技術士二次試験の口頭試験対策を概要だけまとめました。
想定質問と、それに対する具体的に回答のコツやテンプレ回答案は別記事にて紹介しますのでご参考ください。