鉄筋の曲げ加工の曲げ半径・継ぎ手の頻出問題【コンクリート技士・一級土木施工管理技士】

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鉄筋の加工は、コンクリート技士試験・一級土木施工管理技士ともに頻出の問題です。

土木関連の試験を長らく研究している私として、当記事でご紹介する内容を網羅すれば、鉄筋問題は満点が取れると思います。

そのくらい頻出な問題なのです。

この記事ではどこよりも分かりやすく解説していますので、ぜひご一読ください。

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鉄筋関連問題の傾向

加工や継ぎ手に関する問題が多いです。

ただし、コンクリート等の問題では配合から施工、耐久性まで出題されるのに対し、鉄筋は加工と継ぎ手の2つの出題だけです。

そう思うとなんだかいける気がしませんか?

出題範囲の狭い鉄筋問題は満点を取れるようにここで勉強しておきましょう。

加工に関する禁止事項

鉄筋加工に関する問題では、禁止事項について出題されます。

基本的なところで言うと、加熱加工してはいけないというものが有名です。

これはご存知の方も多いのではないでしょうか。

 

禁止事項は次のとおりです。

・加熱加工

・曲げ戻し

・点溶接

・横方向の重ね継ぎ手

加熱加工

鉄筋の加工は常温加工を原則とし、加熱加工は基本的に禁止されています。

しかし、やむを得ない場合は加熱加工も許容されており、その場合には以下の2点に留意する必要があります。

1. 溶接部から10D以上離れた箇所で行う

2. 急な冷却を避ける

10D以上離れた箇所で行う

ここで、Dは鉄筋の直径を指しています。

加熱加工する場所は、溶接部から直径の10倍よりも離れた箇所で行わなければいけないということです。

 

では、なぜ溶接部を避けなければいけないのでしょうか?

ヒントは2つです。

1. 溶接部は母材に比べて強度が低くなる傾向にあり、弱部となりやすい

2. 加熱により鉄筋の強度が低下する

つまり、ただでさえ弱部である溶接部が、加熱加工によりさらに弱くなると、明らかに局所的な弱部となってしまうためです。

加熱により鉄筋の引張強度は10%以上低下することが土木学会の論文でも言及されています。

 

鉄筋の設計計算において、どんなに太い鉄筋でも、局所的な弱部で必要な強度が得られなければ、もっともっと太くする必要があり、その局所のためだけに必要以上のサイズを用いた過大設計をすることになってしまいます。

過大な設計になることで鉄筋量が増加しコストが大きくなります。

そのため、鉄筋の加熱加工は溶接部から避け、できる限り必要最低限のサイズの鉄筋で担うようにします。

急な冷却を避ける

これは比較的イメージしやすいかと思います。

急な温度変化はあらゆるものにとって天敵です。

 

鉄筋を加熱すると、オーステナイトと呼ばれる面心立方格子の結晶構造となります。

ゆっくり冷却した場合にはフェライトと呼ばれる綺麗な体心立法構造の結晶構造になり、この状態は強度も靭性も良くできています。

しかし、急激な冷却を行った場合には、マルテンサイトと呼ばれる未完成な結晶構造になってしまいます。

マルテンサイトは強度的には十分なのですが、その脆さから脆性破壊リスクが高く、鉄筋コンクリートに使用する鉄筋としては望ましくありません。

 

一方で、マルテンサイトが加熱によりオーステナイト相に変化し、冷却するとマルテンサイト相に戻るという構造を利用して、形状記憶合金などに活用されています。

曲げ戻し

曲げ戻し、すなわち、一度曲げた鉄筋を曲げ直すことは禁止されています。

曲げ戻しを行うと、最大60%ほど鉄筋に伸びが発生し、破断リスクが著しく増加します。

スプーン曲げの練習で、何度も曲げ戻しを行う内に2つに割れてしまったという経験ありませんか?

金属は曲げ戻されることで伸びてしまい、破断しやすくなるのです。

 

ただし、一時的な曲げ戻しは認められており、その際は900〜1000℃に加熱して行うよう規定されています。

加熱することで構造の再編を行い、伸びたままになってしまうことを防ぐことができます。

点溶接

鉄筋溶接において、点溶接は禁止されています。

鉄筋に沿って一定長さにわたって溶接することで、鉄筋を剛結合させ、組み立てることが可能です。

しかし、点溶接を行うと、局所的な結合箇所が発生して、そこに力が集中します。

繰り返し局所的な荷重が作用することで結合部分は容易に降伏してしまいます。(=疲労強度が低下する)

横方向の重ね継ぎ手

横方向鉄筋(あばら筋、帯筋)の重ね継ぎ手は禁止されています。

主筋方向は鉄筋とコンクリートの付着長さが長く、かつ重ね継ぎ手の長さも十分な長さにできます。

一方で、横方向鉄筋は鉄筋同士の摩擦力もコンクリートとの付着力も乏しいため、フックを設けるよう期待されています。

フックとは、鉄筋の端部を一定の角度に折り曲げた状態のことで、フック部分を主筋に引っ掛けることで横方向鉄筋を固定します。

 

フックは、90°、135°、180°の3種類があります。

曲げた先の端部の長さは、十分な引っかかりを発揮するために必要な長さが規定されています。

90°フックであれば、8φ以上

135°フックであれば、6φ以上

180°フックであれば、4φ以上です。

鉄筋の曲げ加工時の角度ごとの余裕長の規定

※下水道施設における処理場ポンプ場の複合構造物指針では、土木構造物の曲げ余長は下記の通りとされています。

90°フックであれば、鉄筋直径φの12倍以上

135°フックであれば、6φ以上かつ60mm以上

180°フックであれば、4φ以上かつ60mm以上です。

 

また、ヘッドバーといって、鉄筋の端部がT字に膨らんでいて、Tを主筋に引っ掛けるタイプの鉄筋もあります。

T字なのでフックよりも楽に引っ掛けられるため、過密配筋箇所などで使用されることが多いです。

ヘッドバー鉄筋を使用するときの配置図

ヘッドバー鉄筋の種類4つ

(VSL JAPAN株式会社より)

鉄筋頻出問題

以下、鉄筋関連の頻出問題をキーワードごとにまとめています。

継ぎ手

鉄筋の重ね継ぎ手は焼きなまし鉄線を用いて行いますが、巻く範囲はなるべく短くするように巻きます。

焼きなまし鉄線を巻いた範囲は鉄筋とコンクリートの付着が無くなってしまいます。

焼きなまし鉄線はツルツルした素材のため摩擦力が働きにくく、RCとしての一体性が不十分になる恐れがあります。

ここでワンポイント!

鉄筋に巻いた焼きなまし鉄線の端部は、コンクリート内側に向くように曲げておきましょう。

コンクリート外側(表面側)に向いていると、かぶり内になまし鉄線が飛び出すことになります。

なまし鉄線は鋼材ですから、もちろん腐食します。

 

かぶりとは、コンクリート表面から鋼材までの距離なので、飛び出ている鉄線があるとかぶりが小さくなり、必要かぶりを確保できず、塩害や中性化等の劣化が発生しやすくなります。

重ね継ぎ手長さは鉄筋直径の20倍以上とします。

 

また、継ぎ手位置は隣の継ぎ手位置と同一平面上にならないよう、25φ以上離した千鳥配置とします。

※継ぎ手表面から表面までが25φ。継ぎ手中心から中心までは(25+1)φ。

ここで、継ぎ手と隣接するあきは、コンクリートが十分に充填されるように、粗骨材最大寸法以上とるようにします。

ガス圧接継ぎ手

先ほど紹介した重ね継ぎ手の他に、圧接継ぎ手があります。

鉄筋同士を突き合わせて、ガス圧接で一直線に繋ぐ工法です。

ガス圧接は、直径16mm以上の鉄筋かつ、2つの鉄筋径の差が7mm以下の場合に使用できます。

 

圧接部の品質規定として、下記4点もよく出題される問題ですので、鉄筋問題で高得点を狙う方は数値までしっかり覚えておきましょう。

・圧接面のずれ1/4φ以下

・鉄筋中心軸のずれ1/5φ以下

・圧接部の膨らみの長さ1.1φ以上

・圧接部の膨らみ幅1.4φ以上

鉄筋圧接部の規定(圧接中央と圧接面の差は1/4d以下、2つの鉄筋の中心軸位置の差1/5d以下)鉄筋圧接部の規定(圧接部のふくらみ径は鉄筋直径の1.4d以上、ふくらみ長さは1.1d以上)

 

露出部のエポキシ樹脂塗装

打継ぎ部において、一時的に張り出し鉄筋が大気中に露出するケースはよくあります。

このような場合、大気中の二酸化炭素や塩分により、鉄筋腐食に伴う強度低下が懸念されます。

そこで、しばらく鉄筋が露出する状態が続く場合は、エポキシ樹脂を塗装して保護します。

 

エポキシ樹脂は損傷しやすいため、定期的に状態確認を行い、損傷した場合には再塗装します。

エポキシ樹脂塗装鉄筋はコンクリートとの付着力が通常よりも小さくなる傾向があり、塗装する場合は必要な付着強度を発揮できるのか設計検討を行う必要があります。

塗装材料として、エポキシ樹脂の他にも、セメントペーストを塗ったり、コールタールやアスファルトを含んだ布で包んだりするのが有効です。

 

また、長時間放置した際に、鉄筋に浮きサビが生じる場合があります。

コンクリートとの付着が阻害されてしまうので、コンクリート打設前には露出鉄筋の浮きサビを除去するよう留意します。

かぶりの確実な確保

かぶりの確保は試験でも実施工においても確実に行うようにしましょう。

先ほど説明した焼きなまし鉄線のかぶり侵食も、ダメだけど頻繁に発生してしまう不具合の1つです。

コンクリート構造物が完成した後、表面に鉄筋探査機を当てることで容易にかぶり厚を測定できてしまうので、バレやすいですし、かぶり不足が発生するとコンクリートをはつって打設し直しという工程・費用面で劇的なダメージを受けてしまいます。

 

かぶりが不足すると、塩害や中性化等の化学的侵食を受けやすく、構造物の寿命が短くなります。

自身が作った構造物はできるだけ長く使ってもらいたいですよね?そういう観点でもかぶひ不足には留意しましょう。

 

その他、かぶり不足に関連して、以下の頻出問題がありますので、きっちり覚えておきましょう。

・かぶり確保のためのスペーサーは鋼製ではなく、モルタルまたはコンクリートスペーサーを用いる

・組立用鋼材もかぶりを侵してはならない

どちらも容易に想像できますが、かぶり範囲に鋼製スペーサーや組立用鋼材があると、その鋼材についてのかぶりが不足してしまいます。

外部からの侵食でスペーサーや組立用鋼材が腐食すれば、隣接する内部鉄筋まで早々に広がります。

 

以上今回は鉄筋の加工・継ぎ手に関する頻出問題をご紹介しました。

コンクリート技士や一級土木施工管理技士の問題を長く研究している私として、鉄筋関連の頻出問題はほぼ網羅できていると自負しています。

ぜひ暗記ではなく理論で覚えて忘れないようにしましょう!