ウェルポイント工法とは?ディープウェル工法との違いは?デメリット・特徴

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ウェルポイント工法とは、排水工法の一種で、軟弱地盤内にウェルポイント呼ばれる吸水管を多数配置し、強制排水して地盤の圧密促進を図る工法です。

ここでは、排水工法とはなんぞやという基礎から現場でウェルポイント工法を採用する場合の留意点まで分かりやすく解説していきます。

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排水工法とは?

軟弱な粘性土地盤上に盛土や構造物を施工すると、自重により粘性土地盤が即時沈下・圧密沈下し、盛土や構造物の不同沈下を引き起こします。

※即時沈下とは、短期間におよぶ沈下のことです。

※圧密沈下とは、粘性土が大きな荷重を受けることで排水され、体積収縮する現象です。

※不同沈下とは、構造物底面の地盤が部分的に沈下量に差を生じることで、構造物が傾斜する現象です。

排水工法には、強制排水方式で比較的浅い範囲に適用するウェルポイント工法と、重力排水方式で深い範囲に適用するディープウェル工法があります。

ウェルポイント工法とは?

ウェルポイント工法とは、ウェルポイントと呼ばれる吸水管(詳細仕様は後述します)を軟弱地盤内にカーテン状に多数設置し、真空力により吸水・排水する工法です。

※ウェルポイントの仕様: 外径50mm、長さ70cmのストレーナー濾過網を有する吸水管内に、径5cm、長さ5.5〜7mの吸水管を取り付けたもの。

真空力は大気圧1気圧分に等しいため、その圧力で排水可能な範囲、理論上、深さ10m以浅の範囲に限定されます。

しかし、実際には地盤空隙内を縫って排水しなければならないことから効果が薄く、深さ7m前後が限界とされています。

ウェルポイント工法で得られる結果

ウェルポイント工法により地下水位を低下させることことで、下記の効果が得られます。

土留工事の簡素化

掘削作業をドライワークとして土留工事の簡素化(仕様ダウン)とそれに伴うコスト削減、工程短縮、および土留壁の隙間からの地下水流入を防止できます。

圧密促進

地下水位を低下し、粘性土地盤に作用する浮力相当の力を鉛直下向きに載荷して圧密を促進します。

せん断強度の増加

圧密促進により、粘性土地盤のせん断強度を増加させます。

沈下量の低減

圧密促進により、基礎地盤の体積を収縮させておくことで、基礎地盤上に盛土や構造物施工する際に発生する沈下量を低減できます。

ウェルポイント工法とディープウェル工法の使い分け

押さえておきたいのは、ウェルポイントは強制排水で、深さ7m以浅に適用され、カーテン状に多数設置するという点です。

一方、ディープウェル工法は、重力排水方式で、深さ30m程度以深への採用実績があるという点です。

施工における留意点

排水工法は、排水深さが深いほど排水範囲も大きくなるため、特にディープウェル工法では周辺の既設構造物下の地盤が圧密沈下することによる既設構造物の不同沈下に留意する必要があります。

場合によってはアンダーピニングにより既設構造物を仮支持や、リチャージウェル工法による地下水位回復を行います。

※リチャージウェル工法: 排水工法の影響範囲内であるものの、排水により既設構造物へ悪影響を及ぼす危険のある箇所へ注水を行うことで部分的な地下水位回復を図る工法です。

上記のような排水に伴う悪影響は、事前に判明しない場合が多く、周辺地盤や構造物にひずみ計、沈下計、地下水位計を設置して施工中の計測管理を行います。

 

以上、今回はウェルポイント工法について採用目的やメリット、ディープウェルと比較的した場合のデメリット等を分かりやすく解説しました。土工事であれば全現場において排水工法が採用されると言っても過言ではありません。ぜひ理解しておきましょう。