コンクリートの打重ねとは、打設後まだ硬化途中のコンクリートの上から続けて新しいコンクリートを打設することです。
コンクリート標準示方書により、1層のコンクリート高さは40〜50cm以下でなければならないと規定されていますので、高い壁などを打設する際には何層かに分ける必要があります。
打設した1層目の上から2層目を打設する、これが打重ねです。
打重ねと打継ぎの違い
打重ねと似た用語に「打継ぎ」があります。
打重ねが”硬化中の”コンクリートの上から追加で打設するのに対し、打継ぎは”既に硬化完了した”コンクリートの上から追加コンクリートを打設して一体化させるものです。
打重ね許容時間
コンクリートは練混ぜから90分以内(夏季は120分以内)に打設を完了しなければいけません。
その上で、1層目打設完了から2層目を打継ぎ完了するまでの時間が120分以内と規定されています。
これは、1層目のコンクリートが完全に硬化しきるまでの時間です。
ちなみにコンクリート標準示方書では気温が25度を超える場合は2.0時間以内、25℃以下であれば2.5時間以内と期待されています。
ただ、期待範囲内でと実際にはコールドジョイントが発生することが多く、なるべく早めの打設が必要です。
しかし、作業速度だけで打重ね間隔をより短くするのは難しく、一般には凝固遅延剤を用いて対応します。
貫入抵抗値による打継ぎ間隔規定
貫入抵抗値により打継ぎ間隔を規定する方法もあります。
JIS A 1147では、コンクリートの凝結開始時間を、貫入試験による貫入抵抗値が3.5N/mm2としており、これが一般にバイブレーターによる振動限界とされています。
一方でより実施工を意識した文献においては、コンクリートの凝結開始時間を、貫入抵抗値が0.1N/mm2となる点とするものが多く、実施工においてはこちらを打継ぎ間隔の上限として設定することが多いです。
打重ね時のバイブレーター
打重ねを行う場合には、下層と上層をよく一体化させるために、バイブレーターは下層に10cm程度入るようにして上層と一緒に締固めます。
打重ね許容時間間隔120分ギリギリだと、下層の大部分が硬化しており、バイブレーターを挿入できない可能性があります。
規定の時間に関わらず、十分早めに打重ねを行いましょう。