シリカフュームは混和材の1つで、フェロシリコンや金属シリコンを製造するときに生じる排ガスを捕集したもので、粒径が1μm以下、比表面積が約200,000cm2/gの超微粒子のことです。
平均粒径としては0.1μmであり、たばこの煙粒子と同程度の粒径なので、非常に細かい粒子なのが分かります。
金属シリコン、フェロシリコンの製造には大量の電力を必要とするため、欧州やカナダ等電力の安い地域で盛んに使用されてきましたが、コンクリートの高強度化にクリティカルに効いてくることが知れ渡り、近年は中国やインドでも製造が盛んに行われています。
品質基準
2011年に品質基準の改定が行われており、国ごとに多少の規定差はありますが、大まかに以下の通りです。
・主成分である二酸化ケイ素を85%以上含んでいること。
・比表面積が15m2/g以上であること。
・湿分が3.0%以下であること。
その他三酸化硫黄や塩化物イオンの含有率などの規定があります。
日本特有のものとしては、強熱減量の規定がアメリカ、カナダ、中国等では6.0%以下との規定に対し、日本では4.0%以下と厳しく規定されています。
特徴
ポゾラン反応
シリカフュームの主成分は二酸化ケイ素(\(SiO_2\))であり、フライアッシュと同様にポゾラン反応を示すことが確認されています。
フライアッシュは\(SiO_2\)と\(AL_2O_3\)の2つがポゾラン反応を起こすのに対し、シリカフュームは\(SiO_2\)のみのため印象としては少し弱く、試験でも「ポゾラン反応」として出題される場合はほぼ確実にフライアッシュです。
それでも実際にはコンクリートの温度応力を抑制しつつ強度増進に大きく寄与します。
マイクロフィラー効果
超微粒子であるシリカフュームは、セメント粒子間の隙間を充填し、コンクリートを緻密化する効果があり、これをマイクロフィラー効果と呼びます。
マイクロフィラー効果は粒径が1μm以下であるシリカフューム特有の性質であり、シリカフュームの代名詞ともいえる特徴です。
高強度コンクリートの中でも特に強度が求められる設計基準強度が100N/mm2以上のものにおいてはシリカフュームの使用が無ければ実現できないといわれています。
それほどにシリカフュームのマイクロフィラー効果による強度増進が優れているのです。
ボールベアリング効果
ボールベアリング効果(Ball Bearing Effect)とは、球が軸受けとして機能することでコンクリートを流れやすくする効果です。
ハンドスピナーなどをイメージすると分かりやすいかもしれません。
通常コンクリートのスランプは単位水量で決まり、水っぽくすることで流動性を確保しています。
一方でシリカフュームを添加した場合には、通常55%程度である水セメント比を20%まで小さくしても十分な流動性を確保できます。
さらに、水セメント比が小さいことで、同じ流動性でもシリカフュームを添加した方がコンクリートの圧縮強度を大きくなります。
また、単位水量を減少させることで乾燥収縮を低減することができます。
反対に、水セメント比が小さくなるということはセメントの割合が大きくなり、自己収縮量が増加してしまうというデメリットもあることには注意が必要です。