セメントとは、一般にポルトランドセメントのことを指します。
ポルトランドの由来は、硬化後の姿がイギリスのポートランド島で採れるポルトランド石に似ていることから来ています。
ポルトランドセメントを基本として、を基本として、アルカリ量を低く配合したり、混和材を付加したり、廃棄物を利用したセメント等があります。
ポルトランドセメント | |
低アルカリ形ポルトランドセメント | |
混合セメント | 高炉セメント |
シリカセメント | |
フライアッシュセメント | |
エコセメント |
ポルトランドセメント
セメントと言われたらポルトランドセメントのことを指します。
コンクリートの仕様表示では「27-12-20N」などと表示しますが、最後の「N」はノーマルを表し、ノーマルとはポルトランドセメントを指します。
製造方法:
石灰石と粘土を主成分とする原料を高温(1450℃)で焼成してできるクリンカーに、石膏を3~4%加えて粉砕する。
※原料詳細は下表
セメント1tあたり | |
石灰石 | 1100kg |
粘土 | 200kg |
珪石・鉄原料等 | 100~200kg |
ポルトランドセメントにも普通・早強・超早強・中庸熱・低熱・耐硫酸塩の6種類あり、セメントクリンカの組成化合物の含有割合によって区分されています。
化学式 | 読み | 別称 |
C3S | けい酸三カルシウム | エーライト |
C2S | けい酸二カルシウム | ビーライト |
C3A | アルミン酸三カルシウム | アルミネート |
C4AF | 鉄アルミン酸四カルシウム | フェライト |
普通ポルトランドセメント
一般的なセメント
早強ポルトランドセメント
C3Aが最も多く、粉末度が高い。
早期強度および水和熱が大きい。
超早強ポルトランドセメント
早強ポルトランドセメントよりもC3Aが多く、粉末度が大きい。
粉末度が大きいため強度をさらに早期化可能。
中庸熱ポルトランドセメント
水和熱を抑制するためにC3S≦50%、C3A≦8%と規定。
低熱ポルトランドセメント
中庸熱セメント以上に水和熱を抑制するために、C2S≧40%、C3A≦6%と規定。
耐硫酸塩ポルトランドセメント
C3A≦4%と規定。
海洋構造物や温泉地帯で使用。
低アルカリ形ポルトランドセメント
日本においてアルカリシリカ反応によるコンクリート構造物の損傷が問題となったことから、1986年に規定されました。
セメント中の全アルカリ量を0.6%以下に保証したものです。
高炉セメント
高炉スラグ微粉末を5%超含んだセメントを指します。
※含有率5%以下のものはポルトランドセメントとみなされます。
A,B,C種に区分されます。
高炉セメント | 含有率 |
A種 | 5~30%以下 |
B種 | 30~60%以下 |
C種 | 60~70%以下 |
シリカセメント
シリカフュームを5%超含んだセメントを指します。
シリカセメント | 含有率 |
A種 | 5~10%以下 |
B種 | 10~20%以下 |
C種 | 20~30%以下 |
フライアッシュセメント
フライアッシュを5%超含んだセメントを指します。
フライアッシュセメント | 含有率 |
A種 | 5~10%以下 |
B種 | 10~20%以下 |
C種 | 20~30%以下 |
エコセメント
2002年にJIS化された種類で、セメント1tあたり500kg以上の廃棄物を使用したセメントを指します。
セメント中の塩化物量によってさらに2種類に区分されます。
種類 | 塩化物量 |
普通エコセメント | 0.1%以下 |
速硬エコセメント | 0.5%~1.5%以下 |
これまでは普通エコセメントの高強度コンクリートへの使用は制限されていましたが、2009年以降、高強度コンクリートへの使用もOKになりました。
性能要件
普通ポルトランドセメントの塩化物イオンは0.035%以下と規定されています。
強熱減量は、普通・高炉・シリカA種・フライアッシュA種で5.0%以下、中庸熱・低熱・耐硫酸塩で3.0%以下と規定されています。