打継ぎとは?打継ぎ処理、打継ぎ許容時間間隔、チッピング等を分かりやすく解説

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打継ぎとは、硬化が完了しているコンクリートに接して新しいコンクリートを打設することです。

似た言葉の「打重ね」はまだ硬化が完了しないうちに次のコンクリートを打ち込むことですが、打継ぎでは完全に硬化したコンクリートと一体化させます。

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水平打継ぎ目と鉛直打継ぎ目

打継ぎには、上下方向に打継ぐ場合と、横方向に打継ぐ場合があります。

それぞれの打継ぎ目を水平打継ぎ目、鉛直打継ぎ目と呼びます。

上下の打継ぎなのに“水平”打継ぎ目?と疑問に思われるでしょう。

呼び方は打継ぎ面の方向に由来しているので少し分かりづらいですが、下図のイメージで覚えてみてください。

鉛直・水平打継ぎ目

打継ぎ可能時間間隔

「打重ね」は1層目を打設後、120分以内に次のコンクリートを打込まなければならないという規定がありますが、打継ぎでは時間の制限がありません。

打継ぎのやり方

古いコンクリートに接するように新規コンクリートを打込むだけでは2つのコンクリートが一体化しません。

古いコンクリート表面が滑らかなため、そこに境界ライン(コールドジョイント)ができ、水や塩化物イオンの侵入経路になってしまうためです。

打継ぎを行う場合は以下の事項に留意する必要があります。

打継ぎ位置

打継ぎ目はせん断力が大きく作用する箇所を避け、圧縮力が作用する位置に設置します。

梁や床スラブではスパンの中央付近に、柱や壁では床や基礎の上端に設けるのが一般的です。

打継ぎ処理

表面を荒らす

一体化させるために、まず古いコンクリートの表面をワイヤブラシ、サンドブラスト、チッピング等で荒らします。

荒らすというのは要するに粗くデコボコにするということです。

そうすることで、コールドジョイントによるせん断力に対して凹凸で抵抗できるようになります。

特にせん断力に対して配慮が必要な場合は、補強筋を配置するケースもあります。

次に表面を十分に吸水させ、セメントペースト、モルタル、湿潤用エポキシ樹脂を塗布してから新コンクリートを打継ぎます。

レイタンスの除去(表面仕上げ)

水平打継ぎ目では、ブリーディング水の上昇に伴って微粒分が旧コンクリート表面に沈積しています。

この脆弱層(レイタンス)を除去しなければ、水平打継ぎ目に脆弱なコールドジョイントができてしまいます。

水平打継ぎ目は表面のレイタンスおよび表面の品質の悪化したコンクリート部分、ゆるんだ骨材を除去し、十分に吸水させてから新コンクリートを打ち込みます。

打継ぎ直前に打継ぎ目にモルタルを敷く場合があります。

その場合にはモルタルの水セメント比は使用コンクリートよりも小さいものを使用し、コンクリート以上の強度を確保します。

旧コンクリート打設翌日に新コンクリートを打込む場合など、打設間隔が短い場合は、旧コンクリート打設時にコンクリート表面に遅延剤を散布して凝結を遅らせておき、翌日に高圧水で表面の硬化前のモルタルを除去する方法もあります。

止水板の設置

鉛直打継ぎ目で、特に水密性を要求される場合には、打継ぎ目に止水板を設置します。

ひび割れ誘発目地の設置

コンクリートにひび割れはつきものですが、重要箇所でのひび割れを避けるべく、あらかじめ所定の位置にひび割れを集中させるのがひび割れ誘発目地です。

誘発目地の間隔はコンクリート部材の高さの1~2倍程度とし、断面欠損率は部材厚さの50%以上とします。

逆巻きコンクリートの打継ぎ

逆巻きコンクリートとは、上層階から順にコンクリート躯体を構築していく工法です。

その場合には、上層の旧コンクリートの下に新コンクリートを打設する必要があり、その一体化に難があります。

逆打ちコンクリートの打継ぎ処理は、下図のように打込み口を設け、場合によっては膨張コンクリートを使用して一体化を促進します。

逆巻き打継ぎ目の打ち込み口

 

以上、打継ぎについて解説しました。

上記の他にも、打継ぎ部はどうしても外来塩化物イオン等の侵入経路になりやすいため、海岸構造物では最高潮位から上60cm位置から最低潮位より下60cmの間には打継ぎを設けないなどの規定があります。

興味のある方は細かい規定までコンクリート標準示方書で調べてみるのも面白いですよ。