水中コンクリートとは、水中で打設するコンクリートのことです。
水中でも分離しない「水中不分離性コンクリート」を用いたり、トレミー管を常にコンクリートに30cm以上差し込みながら打ち上げていく「トレミー工法」や「コンクリートポンプ工法」などがあります。
また、掘削溝を水やベントナイト溶液(安定液)で満して、その中にコンクリートを打設する地中連続壁工法や場所内杭工法も水中コンクリートの仲間です。
そのほか、箱や袋に詰めたコンクリートを打設位置で底開きして打設する「底開き箱工法」や「底開き袋工法」もあります。
各工法について個別に具体例を出しながらご紹介していきます。
配合について
強度の低下に注意
コンクリートを水中で施工することは、水分が多い環境、すなわちW/Cが大きい環境と言い換えることができます。
W/Cが大きいと硬化コンクリートの発現強度は低下しますよね。
一般に、気中施工(通常の空気環境下での施工)に比べて、水中施工の場合は0.8倍、安定液施工の地下連続壁では0.7倍の圧縮強度になると言われています。
設計段階では、これを見越して配合設計を行います。
標準示方書では水中コンクリートのW/Cを50%以下に規定していますので、その範囲内で設計していきます。
強度に関しては単位セメント量も大きく関連しますが、そちらも後述します。
材料分離抵抗性
水中ではより粘性に富んだ材料分離抵抗性の高い配合とする必要があり、細骨材率を気中コンクリートよりも大きくします。
単位セメント量
コンクリート標準示方書では単位セメント量を\(370kg/m^3\)以上とすることとされています。
水中施工による圧縮強度の低下、および水中で分離しないための十分な粘性と粉体量が必要なためです。
スランプ
水中コンクリートはバイブレーター等による締固めが不可能ですので、流動性と自己充填性を有したコンクリート配合にする必要があります。
具体的には、トレミー工法やコンクリートポンプ工法ではスランプ13〜18cm、底開き箱や底開き袋工法の場合は10〜15cmとします。
施工について
静水環境の定義
水中コンクリートは粘性を高くして水中手渡し材料分離しないように配合設計を行いますが、それも絶対分離しないわけではありません。
流水環境下ではもちろん流されてしまいます。
そのため示方書では静水環境下でしか打設してはいけないとしています。
やむを得ない場合でも流速5cm/s以下は遵守すべき上限としています。
連続打込みの原則
水中では原則として連続して打込みます。
打継ぎ処理の困難さから一体化が難しいことと、水中環境下では水圧による型枠の安定性から連続打設が可能なためです。
水中落下長さ
コンクリートは基本的に水中で落下させてはいけません。(水中不分離性コンクリートの場合は50cm以下までは落下可能)
トレミーやポンプ配管の先端を既に打込んだコンクリートに30cm〜50cm程度埋め込みながら打設します。(地中連続壁では2m以上)
以上水中コンクリートの配合設計および施工に関してご紹介しました。
水中打設専用の混和剤を使用した水中不分離性コンクリートについては別記事の方でご紹介していますので、ぜひそちらもチェックしてみてください。