水中不分離性コンクリートとは?配合と施工方法を解説!

スポンサーリンク
スポンサーリンク

水中不分離性コンクリートとは、不分離性混和剤を混合したコンクリートで、材料分離抵抗性が高いため水中施工時も自由落下させて打ち込むことを可能としたコンクリートのことです。

また、バイブレーターによる締め固めが不可能な水中におけるセルフレベリング性(自己充填性)のための、十分な流動性を有しています。

スポンサーリンク

配合について

材料分離抵抗性

水中不分離性コンクリートは材料分離抵抗を向上させるために、水中不分離性混和剤および増粘剤の添加により粉体量を増加させています。

粘性が高く分離しにくいため、水中で分散して汚水する危険が少ないのも水中不分離性コンクリートの特徴です。

流動性

水中不分離性コンクリートには材料分離抵抗性と同時に自己充填性が求められます。

分離抵抗性のために増粘剤等により粉体量を増加させていますので、それに見合うだけ単位水量を増加させて自己充填性を確保しています。

そのため水中不分離性コンクリートは乾燥収縮が大きく、水中なので乾燥収縮ひび割れが発生しないで済みますが、同じ配合を気中施工すると乾燥収縮は通常のコンクリートよりも20%〜30%程度大きくなり、ひび割れリスクが非常に大きくなります。

標準的な配合例

水中不分離性コンクリートの標準配合として、粗骨材最大寸法を40mm以下、空気量を4.0%以下にします。

細骨材が多くなる、空気量が少ないというのは、どちらも粘性を高めるための規定ですね。

スランプフローの計測時期

水中不分離性コンクリートの流動性はスランプフロー試験により測定しますが、流動するまでに時間が必要なため、スランプコーンを引き抜いてから5分後に測定するようにします。

ブリーディング量が少ない

水中不分離性コンクリートは粉体量に見合うだけ単位水量を増加させると言いましたが、それでも粉体量に対して単位水量は低めのイメージを持っておいてください。

水中不分離性コンクリートはブリーディング量が小さいのが特徴だからです。

一般に単位水量の小さいコンクリートほどブリーディングが少ない傾向があり、これと同様だとイメージすると分かりやすいです。

先述した乾燥収縮量の大きさもブリーディング量の少なさに起因するものであり、特に試験ではこの特徴を忘れてはいけません。

施工について

耐凍結融解性の低さ

水中不分離性コンクリートは耐凍結融解性が低いため、凍結融解の危険がある地域で施工してはいけません。

自由落下高さ・自由流動距離

通常の水中コンクリートは常に先に打ち込んだコンクリートにトレミー先端を挿入しながら打設しなければいけませんが、水中不分離性コンクリートは水中で最大50cmまで自由落下させることが許容されています。

横方向の移動許容値である自由流動距離は最大5mと規定されています。

高流動コンクリートが自由落下5m、自由流動距離8mと規定されていることに比べるとどちらも規定が厳しくなっているようですね。

凝結時間の遅延

水中施工のため、コンクリートの凝結終了までの時間は気中コンクリートに比べて5〜10時間ほど長く掛かってしまいます。

水中不分離性混和剤とは?

水中不分離混和剤は水中における材料分離抵抗性を確保するためにコンクリートに添加する混和剤で、セルロース系とアクリル系があります。

この違いを問われることは試験ではまずありませんが、実際に施工する際には現場に合ったものを経済性とも相談して決定していきます。

練混ぜ時間

水中不分離性コンクリートは練混ぜ負荷が大きいため、強制練りミキサーで練混ぜを行わなければいけません。

また、練混ぜ量はミキサ容量の80%以下とします。

静水環境

水中不分離性コンクリートといえども、流水中では分離の危険がとても大きいため、静水環境での施工が求められます。

水中コンクリートの規定と同じく、やむを得ず流水中で施工する場合にも流速5cm/s以下が必須となります。

 

以上今回は水中不分離性コンクリートについてご紹介しました。

水中コンクリートについて共通事項をまとめた記事もありますので、違いを見比べた上で覚えて頂ければと思います。